| “エリック・カズ” 恥ずかしいことかもしれないが、私は知らなかった。いや、名前は聞いたことあったかもしれない。しかし、シンガー・ソングライターを5人言ってみろといわれても絶対名前は挙がらないだろう。10人と言われても無理だ。しかし…何気なく買ったCDがこれほど衝撃を受ける大きな大きな出会いになるとは思ってもみなかった。私はレコード屋に置いてあった「名盤探検隊」というシリーズのフリー・ペイパーの宣伝広告にノセられて、“とりあえず買ってみた”に過ぎなかったのだ。買った時同様何気なくCDプレイヤーの再生ボタンを押す。……ちょっと待って、な、何これ。いいじゃん、いいじゃん、最高じゃーん。スピーカーからあの哀愁を帯びたブルースハープのイントロが流れた瞬間、私のHP作成中の手はぴったり止まり、30分間まるで魔法をかけられたように「カル・デ・サック」の世界にすいこまれてしまった。それは少しばかりの冒険でもあった。最初この「名盤探検」という響きが私のような素人には到底理解できない“マニアック”で“渋好み”で“通受け”でヒット・ポップス・ファンなどお呼びでないよーなシロモノなのだと思いこんでいたのだ。しかし、そんなにひねくれて深読みする必要などまーったくない「本当は多くのポップス・ファンにぜひとも聴いて欲しかった」本当に隠れた(率直に言えば売れなかった)名盤だったのだ。作品自体は一貫してハートフルなトーンだが、1曲1曲がそれぞれ違った個性を持っている(で、またそれぞれ抜群のクォリティーを誇っている)ので絶対に飽きないどころか何度聴いても魅力は倍増しっぱなしだ。まったくいつまで感動させ続けるのだろう。こんな名盤を隠しておくなんてそりゃあ罪なことだよ。ポップ・アルバムの理想的なスタイルをもつ作品。そのシンプルで奥深く幅広い音楽性の中にアメリカン・ロックのルーツが見える。(1974年の作品) |